
最近、問題になっている「かぼちゃの馬車」騒動では、サブリース契約を結んだものの、家賃改定される規約となっていることから、途中から家賃保証の値下げ。
そして、終いには「払えません!」と管理会社が言ってきたことがオーナー達を苦めています。
でも、当たり前ですが、いくら家賃保証があったとしても自分が納得できる物件でないと購入はしない方が良いです。
今回、私が過去に物件を購入しようと思った時に、サブリースの家賃保障額を変えないという特例中の特例契約を検討することがあったので、その話をご紹介します。
目次
そもそもサブリース契約とは、家賃保証額が年々見直しされる前提での契約内容

サブリース契約とは、オーナーと入居者の間に入って、管理する会社が空室など発生した場合に家賃保証という形で、一定の家賃保証額を払い続けるという契約内容です。
例えば、10万円の家賃に対して10%の管理費を取り、9万円の家賃保証額を管理者がオーナーに支払うことを約束する契約です。
ただし、多くのサブリース契約では、1~5年のタイミングで見直しするのが基本で、初期の家賃保証額は固定ではありません。
それは、築年数が古くなるほど、家賃の下落が発生するリスクが高くなるため、管理会社も市場に合わせて家賃保証額を下げないと管理会社の持ち出しとなってしまうからです。
異例の「35年固定家賃保証額」の契約を提案

購入する物件を探しているとき、「今の家賃は高いけど、絶対この家賃すぐ下がるなぁ~」という比較的安めの物件を見つけました。
都内23区ですが、同じ23区でも格差はあります。
その検討していた物件は、
- ターミナル駅から少し離れた駅
- ローカル線
- 駅近だけど坂があり
- 部屋の広さも狭め(20㎡)
- 築浅(10年以内)
という物件でした。
実際に現地に行って、外観・内観も見ました。
でもその物件に対して、家賃設定をどうしても信用できなかった私たち夫婦は、販売&管理会社とサブリースの話になり、家賃下落を懸念していることを伝えつつ、「この物件、35年固定での家賃保証額と契約に記載して対応できませんか?」と聞きました。
「35年固定での家賃保証」で前向きに検討すると言ってもらえたけど・・・

私が交渉した会社は、区分マンションの販売と管理を請け負う会社で、サブリース契約はありましたが、通常の2年で家賃保証額を見直すものでした。
でも、この物件に対して家賃が下がるイメージしかなかったので、この物件失敗したら、一緒に責任を取ってもらうという意味も含め、「35年、何があっても固定での家賃保証」という異質な契約内容を打診してみました。
そしたら、管理会社の役員さんだったので、権限もある程度あることから「分かりました。そのご要望があれば応えたいと思います」と、覚悟を決めた顔で言われました。
でも、結局「35年固定家賃保証」でもデメリットは大きいと感じた理由
35年固定での家賃保証額となっても、私と夫の中ではずっとモヤモヤしていました。
そして、結局、その物件自体を見送る理由となりました。
なぜ、「35年固定家賃保証額」でも契約しなかったかと言うと次の5つの理由です。
1.サブリースにすると管理費が高い
サブリースの場合、普通の区分マンションの管理のケースだと1~2割程度が多いです。
例として、10万円の家賃だった場合、家賃保証額(管理費・修繕費込み)が9万円で、1万円が管理会社の手数料です。
でも、サブリースにせず、支払い代行・募集・入居者の問い合わせ対応等の管理だけお願いすれば、2~3%程度ですみます。
なので、サブリースではない管理のみ委託だと3,000円ですむところが、サブリースだと割高で1万円支払っていることになります。
2.固定資産額・修繕費が別に発生する
1で説明したように、サブリースだと月々のキャッシュフローが1万円ということになりますが、この月々1万円で固定資産税やその他修繕費を払わなければなりません。
固定資産税が例えば5万円程度するとします。そうすると、もう5か月分の家賃収入分がなくなってしまいます。
それ以外にも、エアコンの設備や、退去後の修繕費が発生した場合は、自分持ちになります。
例にとった、この毎月1万円だけのキャッシュフローでは、いずれ苦しくなります。
3.修繕費・管理費が今後上がる可能性
築浅物件でも、今後、月々の修繕費・管理費が上がる可能性があります。
その際に家賃固定の場合、上昇に応じての家賃のコントロールもできなくなってしまいます。
だいたい、当初の修繕費は安く見積もられていることが多いので、後々上がってくる可能性は高いです。
4.変動金利の場合、金利が上がる可能性がある
今は、超低金利と言われる時代ですが、今後金利が上がる場合、変動金利の場合だとキャッシュフローは減っていきます。(厳密には金利が上がったからと言って、すぐに返済金額が上がるわけではないのですが)
その際に家賃収入が固定のままだと利益は少なくなります。
今後景気が良くないと金利も上がらないのですが、35年同じ金利ということは考えられません。
5.インフレで家賃相場が上がっても家賃保証額は変わらない
35年固定の契約ということであれば、家賃が下がったときも上がったときも変動する要素がないということです。
今後、インフレが進み、家賃の相場は、一部、賃貸需要のあるエリアでは上がります。
現に、都心のごく一部のエリアでは家賃の高騰しています。建築するための資材や人件費が上がり続けているため、新築マンションの価格が高騰しているからです。
23区の区分マンションという現物で資産を所有するメリットにあやかれないというのは、もったいないです。
また、周辺相場よりも低い家賃設定の場合、売却するときに利回りが低く見えてしまうため売却する物件価格が低くなってしまう可能性が高いです。
まとめ:35年固定の家賃保証額でも契約に至らなかった理由

- サブリースにすると管理費が高い
- 固定資産額・修繕費が別に発生する
- 修繕費・管理費が今後上がる可能性
- 変動金利の場合、金利が上がる可能性
- インフレで家賃相場が上がっても家賃保証額は変わらない
これらの結果から、家賃保証35年の固定で考えたときのメリットってそこまで大きくなく、デメリットの方が大きいと判断しました。
その物件については、35年固定の家賃保証額をつけることを考えてまで購入するかを悩んだ物件なので、大人しく買うのをやめました。
そもそも、サブリースにするかしないか以前に物件の価値で保有すべきかを慎重に考えないと、サブリース頼み(業者頼み)となってしまって、そのリスクも大きいです。
その会社がそもそも35年後もあるのかどうか?については誰にも保証はできないのです。。。
たとえ、サブリースを選択したとしても、サブリースありきの物件選択はおすすめしません。
実際にあった、サブリースの話で、搾取されている人について書いています。結局、このオーナーは物件を手放しました。
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